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福ちゃんの「日本料理に心酔中!」〜食事が2倍楽しくなるブログ〜

月山 純米吟醸 イノベーション リンゴ酸
【エッセイ】

『月山』純米吟醸 innovation Apple🍎

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各SNSには書ききれなかったことを綴らせていただいてます!

「長文すぎるぅ!」と苦痛のお声が多かったため、ブログで自由にやらせてもらいますん…っ!

月山 純米吟醸 イノベーション リンゴ酸
イノベーションシリーズから新たに「リンゴ酸」ver.が!

おすすめポイント

・芳醇な味わい

・バランスの取れた、しつこくない甘み

・果実的な瑞々しさ

・軽やかに飲めて初心者にも◎

ベタついた甘さじゃない!だから、初心者だけでなく飲兵衛にも愛される。

この蔵の理念

日本酒の登竜門としての立ち位置

“日本酒は美味しい”を、

難しく考えずとも感じて頂ける、そんな酒を醸していきたい。

目指すのは華があり透き通るような味わい、それでいて米の旨みがあとからふわっと追いかけてくるような酒。

このお酒のコンセプト

リンゴ酸と旨味との調和

今年(2025年)のイノベーションシリーズ3種のうち、今回の『純米吟醸 innovation Apple』では、リンゴ酸多酸性清酒酵母を用いて醸造。

酸による酒質への影響を検証したかったとのこと。

伝統的な日本酒造りを行いながらも新しい味わいのお酒を醸したい。そんな想いで毎年試験的にリリースされるのがこのイノベーションシリーズ。

味わい「リンゴ果汁は入ってません!」

『月山 innovation 2025』

リンゴ酸多酸性清酒酵母使用という文字を見て、

「島根県ってリンゴの産地だったっけ?」(吉田酒造さんが島根県)

「青森とか、長野じゃないの?」と勘違いする方も多くいらっしゃいます。

確かに名前にリンゴと付くものですから仕方がないです。

しか〜し!

簡単にいうと、リンゴ酸は、有機酸の一種であり、果実のリンゴではありません。

だから果汁も入ってません。

初めてその酸が発見されたのがリンゴからだったため、「リンゴ酸」と名付けられています。

有機酸には、他にもクエン酸とか、乳酸とか、コハク酸とか、おそらくなんとなく聞いたことがあるものではないでしょうか。

今挙げた有機酸は、リンゴ酸含め、日本酒の醸造過程において自然に生成されるものです。

それぞれ、酸そのものに味わいはなく、酸味の感じ方が異なります。例えば、ツンとした酸味だなとか、苦味の残る酸味だとか、そんな感じです。(リンゴ酸だけ果実の名前がついてるからややこしくなってるだけ)

リンゴ酸の特徴は、爽快感のある、軽やかでスッとした酸。

ワインにもリンゴ酸は含まれていて、というよりむしろワインに含まれる有機酸のなかで2番目に多く含まれてます。

白ワインでも、とろりともったりした感じでハチミツを思わせるような香りのものと、逆に爽やかで軽やかでスッパイものとがありますね。

前者よりも後者の方が、リンゴ酸が多いです。ざっくりとしたイメージは湧きましたか?

話を戻すとこの、リンゴ酸多酸性清酒酵母は、単に、

リンゴ酸をいっぱい生み出す機能をもった酵母だよ、といっているわけです。

専門的には「No.28」と呼ばれるきょうかい酵母であります。

それにしてもこんなことをお読みいただいている読者様は稀だと思うし普通ならもうページを閉じているはずだがまだよんでるってことはたぶん日本酒の変態であろうから、さらにややこしくさせてみたくなるのだが、

リンゴ酸はリンゴの味も香りもしない。では実際に日本酒においてリンゴのような香気を生み出す主な成分はというとなにか。

そう、カプロン酸エチルである。

このカプロン酸エチルが豊かな日本酒が紹介される場合、大体において

「フルーティな」とか「(青)リンゴのようなかほり」と表現される。

このカプロン酸エチルを高生産できる機能を持った酵母の代表はきょうかい1601号、1701号、1801号、KArg1901号である。

こういった酵母が1990年代に入ったころから増えてきた。おかげで、華やかな吟醸香をもつ日本酒が多く造られるようになった。搾って間もない新酒などでは香気の幅を広げるのに役立つ。

このあたりは書き出すとめちゃくちゃ長くなってしまうから今回はこの辺りまでとしよう…。

しかし、こういった香気に特化した酒においては、早飲みには適するが、夏を越えてしまうと飲めたものではなくなってしまう酒も時には(というか多く)ある。燗をつけてもぺらっぺらになる。これは、その酒蔵側は新酒の時期に向けて思い切りフルーティさに振り切ったのかもしれない。

蔵によっては、フルーティ酵母を用いながら、燗酒でも上がる(=うまい)し、夏を越えて飲んだってむしろうまく変化する酒を醸す蔵もある。

そのため、酒屋や飲食店は消費者に向けてきちんと飲むべきタイミングや、飲み切ったほうがいいならそのことを伝えるべきだし、消費者の方も、すぐに飲む予定がないのならフルーティな酒を求める際には酒質についてちょっと気にかけてみてほしい。店員に聞いてみるのもいいと思う(しっかりした店員にあたることを願うばかりだが…)。

まあ、基本的にはどの日本酒も、基本的にはおいしいから大丈夫だ。

余談だけれども、少し飲みにくいと感じたお酒、どうしてる?

すぐに「もう飲むのやめた」なんてする前にためしてほしい。

冷蔵庫からしばらくだしておいて常温で飲んでみたり、氷を入れてみてもいいし、加水してみる手もある。日本酒に、水を小さじ一杯でも入れてみると、表情が全く変わる。

だから一口飲んでみて、「あれ?思ってたんとチガウ」などと感じたとしても、いろんな飲み方で飲んでみてほしい。

だってだいたい冷蔵庫から出して飲むでしょ?

そのお酒を、冷蔵庫の温度で飲むからあなたに合わなかっただけかもしれないじゃない。

美味しいか美味しくないか、

じゃなくて、

美味しく飲むための工夫をしてみてほしい。

それはあなたが、あなた自身を満足させる方法。

例えばちょっとぬる燗にしたら、とびっきり美味しいっておもえるかもよ。味のバランスが変わるからね。

例えば、おちょこじゃなくて、湯呑みで飲んでみたら、美味しいって思えるかもよ。ワインでも同じなように、日本酒も酒器で別のお酒に変わっちゃうんだからね。

あなた自身の味覚が満足する飲み方をみつけてほしいと思う。

日本酒スペック

銘柄:『月山』純米吟醸 innovation Apple

特定名称分類:純米吟醸 

原料米:酒造好適米(島根県産) 

精米歩合:60% 

アルコール分:14度 

水:島根の銘水百選に指定された超軟水(不昧流茶道において辺り一帯で最高の水とされた井戸水。不昧公は江戸時代の松江藩主で大名茶人。この人のおかげで今も松江周辺は和菓子の銘菓が多い。)

所在地:

吉田酒造株式会社

島根県安来市広瀬町広瀬 1216

(1743年創業) 

私について

日本料理屋で長らく勤め、年間500種を超える試飲をしてきました。

日本食に関わるお仕事は10年以上。

日本の食文化を広く楽しんでいただきたいが故にワインのソムリエ資格も取得しました。

これからも、日本の文化を応援します!

※引用部分については、全て公式によるHP,SNSより


              
  
    
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