なぜ還暦は『赤いちゃんちゃんこ』?
先日、お父さんの誕生日に
赤いちゃんちゃんこ着せてあげたんだ!
還暦か!そりゃめでたいのう!
みんなでお小遣いを出し合って赤いちゃんちゃんこを買ったよ!
でも、どうしてあんなに派手な衣装を着るの?
それはな、還暦を迎えて、生まれ直すからなんじゃよ。
なぜ還暦には赤いちゃんちゃんこを着るの?
赤色は、古来から魔除けの色とされてきました。
赤ちゃんに赤色を身に付けさせ、健康にすくすく育ちますようにと、願いをこめて赤い産着(うぶぎ)を着せていたのです。
還暦を迎えると「生まれ直す=赤子に戻る」という考えから、
赤子を連想させる赤色のちゃんちゃんこや頭巾、座布団などを贈る習わしがあります。
昔は赤ちゃんの死亡率が今よりもずっと高かったんじゃよ。
医療や衛生面も現代ほど整ってなかったものね。
「7歳まで生きられたら幸運」だなんて言われてたんじゃ!
そんなに!?
だから七五三で年齢を節目にお祝いしたり、
子供の成長を願う桃の節句や端午の節句などがあるんだね!
そもそも「還暦」ってなに?
還暦(かんれき)は、「人が生まれ直すお祝い」です。
還暦をお祝いする日は、生まれてから60年目となる年の1月1日です。
これは、数え年で61歳になる日です。
『数え年』とは?(タップで詳細が開きます。)
昔は、生まれた時を1歳とし、お正月を迎えた瞬間にまた1つ年齢が上がっていきました。
現在のように誕生日を迎えた順に歳をとるのではなく、
日本中の人が、1月1日に一斉に歳をとったのです。
こういった年齢の取り方を『数え年(かぞえとし)』といいます。
人は61歳で生まれ年の干支に還ってくるため、
「また生まれ直す日」としてお祝いしたのです。
干支って十二支のことでしょ?
12年でまた戻ってくるのに、
なんで60年なの?
「十干十二支(じっかんじゅうにし)」といってな、これは60年でやっと一周するんじゃ。古来から使われている、年月や方角、時間などを表した暦の数え方じゃ。
今、みんなが知っている干支というのは12年で一周する十二支のことじゃな。
本来は「十干十二支」のことを「干支」と呼んだんじゃ。
十二支に十干というのを組み合わせた暦が「十干十二支」じゃよ。
60年で一周するから「六十干支(ろくじっかんし)」とも呼んだ。
暦が還ってくるから「還暦」っていうんだね!
あっぱれ!その通りじゃ!
「還暦」の他には「本卦還り(ほんけがえり)」などとも呼ばれるんじゃ。
昔は還暦が存在しなかった!?
実は、還暦を祝うようになったのは室町時代以降のこと!
昔は50歳まですら、生きることが稀だったのです。
長寿を祝う習わし自体は、
奈良時代に中国の「賀寿祝い(がじゅいわい)」を取り入れたことで始まりました。
当時、10年ごとに「40年の賀」「50年の賀」はありましたが、
60歳以降のお祝いは存在しませんでした。
今では還暦の後にも
「古希(こき=70歳)」
「喜寿(きじゅ=77歳)」
「傘寿(さんじゅ=80歳)」
「半寿(はんじゅ=81歳)」
「米寿(べいじゅ=88歳)」
「卒寿(そつじゅ=90歳)
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・
と続き、
「白寿(はくじゅ=99歳)」
なんと99歳のお祝いまであります!
こんなにお祝いがあるんじゃ、
お小遣いがいくらあっても足りないよ〜!
ふぉっふぉっふぉ!
大丈夫じゃよ、還暦以外では、これといって決まった贈り物はないんじゃ。
かつて信長公が好んで舞った幸若舞「敦盛」の一説に、
”人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり”
という一節があります。
日本人の平均寿命が50歳を超えたのは戦後になってからといわれていますから、
短い期間で私たちは、随分と長生きできるようになったものです。
大切な人と長く一緒にいられるようになるなんて嬉しいですね!