福ちゃんの「日本料理に心酔中!」〜食事が2倍楽しくなるブログ〜

ミシュランの常連、赤坂の料亭「福田家」
徒然日記

ミシュランの雑学-その①「星の力、星の意味」

「星」にはどれくらいの影響力があるの?本場フランスミシュランの絶大な威力

日本でもある程度は話題になるし、ちょっといいお食事をしたい時の参考にしますよね、ミシュランガイド。

それでも星を獲ったから常に満席ってわけでもないし、テレビやSNSでも大盛り上がりとはいかない。

筆者の場合はむしろ通っていたお店が星付きだったと後から知り、喜ぶことはあった。

「やはりな!いい店が評価されるのは当然さ。星なんかなくてもいい店はいい店だけど!けどまあ、頑張っているお店が評価されるのは嬉しいもんだな…。」なんてほっこりムーブがハートのなかをグワングワンしたっけ…

ところが!

ミシュランの本家本元・本場フランスでは、

もっと激しいみたいなのだ!

その凄まじさで言えば、星の数が減った店のシェフが自殺をしてしまったニュースもあった。

また、星の理由を巡って、シェフが裁判まで起こしたこともある。

レストラン

それほどまでに、フランスではミシュランの星が重視されている。

レストランの名声、集客力、そして威厳。

星でレストランの運命が決まると言っても過言ではない。取材が殺到し、瞬く間に予約が埋まり、国内外に広く名が知れ渡る。

フランスでのミシュランは絶大な影響力を持つのだ。それゆえ、毎年のシェフの肩にかかるプレッシャーは想像を絶するものだろう。並大抵の精神力ではシェフは務まらない。

「日本のミシュランガイドはアテにならない」?

京都 瓢亭 鮎の塩焼き
京都の「瓢亭」さん。ここは素晴らしいお店だった。朝がゆで有名な老舗料亭だ。ミシュランの星を拒否したが掲載されているという経歴をもつ。

日本のミシュランについて、星を狙いたい時にジャンル別(イタリアン、フレンチ、日本料理など)のコツなどがささやかれたりもする。しかしミシュランに評価されたいのなら、戦略的に経営方針まで右向け右する店があってもおかしくはない。

ところでまさにそのミシュランには、歴史ある巨大なガイドブックとして、一定の信頼できる基準が出来上がっていると信じたい。

なにせこれまでの、最新の業界動向の蓄積や、多岐に渡る食材、料理人の高い技術、連続した食体験から炙り出されてくる各国料理の文化の知は、人類にとって膨大で貴重な資料だ。

和食には疑問。フレンチは良いみたい。

世界中から愛され、権威あるミシュランガイド。

それに比べてしまえばミジンコみたいな筆者であるが、それでも日本のミシュランの選定基準に疑問を持つことがある。

「日本のミシュランはアテにならない」は巷にもよく聞くし、自分自身も経験があるのだ。特に、和食の場合は、基準のブレが顕著であると個人的には思う。

和食では、驚くような店が星3つを付けていたりする。もちろん、”なぜこんな店が”、の方の驚きだ。

星付きフレンチ「ロオジエ」
星付きフレンチ「ロオジエ」東京・銀座。

例えばこんな店があった。

和食の店だが『ワインと合わせられる』ということを何よりの売りにしていた。

純粋に楽しみに当日を迎え、席に着きコースが始まる。

とても美味しい食材があったのでどんなものだったのか聞きたくなりスタッフさんに尋ねるも、食材の説明もろくろくできず、自信のなさそうな接客。

まあ、意外と知らなかった食材だってあるよね、と思いながら、ではせっかくなのでワインを頂こうとスタッフさんを呼ぶ。するとすっごいざっくりとした雑なペアリング説明。しかも全く美味しそうに聞こえない説明がだらだらと続いた。一抹の不安がよぎりましたよ。

それでも、「3つ星なんだから大丈夫よね…」と思い直しワインを注文。

裏からボトルを片手で持った男性が登場。スーツの胸元にソムリエバッヂを模したような飾りをつけ、ヴィンテージボルドーをぞんざいな扱いで抜栓していく。ボトルをぐるぐると乱暴に振り回しながらスクリューを差し込む、だけでなく、さして劣化したコルクでもないのに折った上、残り半分のコルクを押し込んで液体へ落とした。ここまでは技量の問題なので仕方なかった場合も(100歩譲って)あるのかもしれないが、なによりも、そのスタッフの”音”が酷すぎた。抜栓しようとする間、テーブルに何度も何度もボトルの角を打ちつけて、大きな音が鳴っていた。その騒々しさは「ここは未就学児の打楽器の練習場でしょうか?」と耳を覆いたくなるほどであった(楽器ならまだ良かったのに)。同席者は言葉にはしないものの、眉間に皺が寄ったのを横目に見た。

全くもって、1杯7000円のワインが700円に感じた滑稽な夜だった。これがまさか、大人のレストランを代表する3つ星?たぶん何かの間違いで星が付いた。

ジュエリーBOXの一等地に仕舞い込んでいたイヤリングも、それに色味を合わせてコーディネートしたオフショルダードレスも、役不足にあきれていたことだろう。

星、3つだ。喉から手が出るほど、星を求めている店々を差し置いて。

とまあ長くなり過ぎてしまったが、

他にも、おかしな料理を出しているにも関わらず星がつけられている和食店をちらほら見かける。「ミシュランにはこれが和食だと思われてるのか」と少々落胆することもある。私が残念だと思うのは、ミシュランの権威性のおかげで、他国からも自国からも、良い方だけでなく悪い方向にも、「あ、これがいい和食なんだな」と間違った認識をされてしまうことである。和食は、そんなにつまらなくない。

飲食仲間で、フレンチに従事した(現役、OB含め)方々は、「日本版でも、フレンチの星は結構アテになる」と口を揃える。フレンチの基準はなかなかに厳しいようだ。それでいい。フランス発のガイドブックが、妥協してどうする。自国の文化に厳しい目をもち、守っていくのは当たり前じゃないか。

ミシュラン星付きフレンチ「レミニセンス」愛知・名古屋。
星付きフレンチ「レミニセンス」愛知・名古屋。

筆者は飲食業界人

筆者は飲食業界に10年以上おり、星付きの店にも勤めていた。主に和食で、厨房も接客も経験した。

だからこそ話せる話もあると思うし、逆に、だからこそ話せない話もある。

それでもいつでも根幹にあるのは、「食事で幸せを感じてもらうにはどうしたらいいか」「食事が今よりもう少しだけ楽しくなる方法をどう伝えたらいいか」と言う気持ち。

特に、我が国日本が誇る和食について、日本にいる人こそ、深く知ればもっと和食を楽しめるということ。日本語を操り日本という生活環境で育ったからこそ感じられる機微が、和食には存在している。

たまに毒づいたり、横道に(大幅にw)逸れたりしてしまうが、これはブログを始めた理由である。

  

星2つは「わざわざ遠回りしてでも行きたい店」!?ミシュランガイド「星」の数それぞれの意味

星は単なるピラミッドなだけでなく、それぞれに意味合いを持つ。

一つ星の意味は

「近くに訪れたら行く価値のある優れた料理」

二つ星の意味は

「遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理」

三つ星の意味は

「そのために旅行する価値のある卓越した料理」

わざわざ旅行して、目的地になりうる店が三つ星である。生半可な褒め言葉ではない。三つ星とはそれほどまでに惹きつけてやまない、高い価値があると意味付けされている。

たしかに、筆者にも年に1度、新幹線で訪れる店がある。他に用事などなくても、または時間がなく日帰りであったとしてもわざわざ旅行してその店に行く。これは自分の中の三つ星ということになるのだろう。

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