大豆最強説
大豆の貫禄
和食において重要な食材はなにか。
諸外国ではメインとなる肉であろうか?
いや、違う。
日本は、大豆なのだ。
「とりあえずビールと枝豆!」
の枝豆は大豆の若いサヤだ。
納豆、豆腐、煮豆、そして調味料としての味噌。
そしてなんといっても、
魚を食すのに欠かせない、醤油に変身するのがこの大豆だ!
(みんな大好きポン酢だって、ベースは醤油である。)
日本の味覚の基盤
となっている、重要な作物なのである。
和食は、大豆なくしては成り立たないのである。
日本料理に肉はいらない
日本料理は海のものと山のものが中心だ。
海のものは、魚介や海藻、塩などである。
刺身のほか、椀種の代表格の真丈(しんじょう)、ちくわ、はんぺんなども魚のすり身。
多くの料理のベースとなる出汁も、鰹や昆布や煮干しでとる。
(献立に書かれた出汁、をデジルと読む若者がいて大変驚いた。余談。)
あしらいや小鉢では季節の海藻。
(海苔巻きの海苔も海藻だ。)
そこに山のものが加わり、手仕事を経て豊かな食になる。
山のものとは葉ものや、根菜類、豆類など、つまり、野菜である。
会席料理屋で肉が供出されることも珍しく無くなってきたが、
肉は、会席料理においては脇役でしかない。
※念の為補足しておくが、食文化全体において肉が重要ではない、という話ではない。
あくまで会席料理においての話だ。
歴史を追えば理由は明白。
日本で肉食が解禁されたのが明治時代であったのに対し、
会席料理は江戸時代に形式ができたからだ。
(もっと言うと、会席料理の元となった本膳料理は室町時代に確立されている。)
つまり、肉食が禁止されていた時代に形作られたため、肉は当然使われずに発展してきたのである。
昨今では日本に居ながらにして各国の料理が味わえる。
肉をメインにした料理屋は五万とあり、アメリカ料理からフレンチ、イタリアン、トルコ料理など、きちんと各料理に精通した料理人が美味しく肉を食べさせてくれる店がある。肉の質にこだわった、焼肉屋もある。
では、日本料理は?
日本料理が供出するものは、美味しい海のものと山のものである。
だから、わざわざ会席料理に肉を使う必要はない。
会席料理における脇役をわざわざたべさせるなど、疑問でならない。
少なくとも私は、会席料理では海のものと山のものをいただきたい。
長い歴史の中で試行錯誤が繰り返された末に研ぎ澄まされ、シンプルへ辿り着いたその素晴らしい海のものと山のものを味わいたい。
料理界でいえば会席は、海のものと山のものの専門家なのだ。
バターの濃厚さなども必要ない。
肉は他の料理屋に任せればいい。