
八百屋と私。#3
1今日もやはり、お気に入りの八百屋である。
いつだって、ここの値付けはスーパーよりも安い。
同じ位の値段の商品もごくたまにあるけれど、もし値段が変わらないならば迷いなくこちらの八百屋で買いたい。
だって野菜が生きてるんだもん。
自分の命すら、沸き立つようなお店なんだもん。(詳しくは#2)
さて今日は嬉しいことが起きた。
八百屋のお父さんは、今日も変わらず「いらっしゃーい!」と声を張っていた。そして帰るお客様には「ありがとうございまーす!」と全員で言い、その後にお父さんだけ少し小さな声で「またお願いしまーす…!」と言った。
いつもの光景であり、最近とても好きな光景である。
私も、いつものように、軒先にダンボールごと出ている野菜をひと通りみていた。
カゴにいくつか向かい入れ、それから店内に一歩入って、正面で作業していたお父さんにこんにちはと言った。
するとお父さんが顔を上げて
「いらっしゃーい!」と言い、
その後に、
「あ、まいど!」
と付け加えた。
…ん?
まいど…だ…と….!?\(//∇//)\
なんというのかわからないが非常に喜ばしいことであった。
お気に入りの場所に、初めて受け入れられた気がした。
いつもは一方的にお邪魔させてもらっていた。今日からは双方の認識下でこの世界を味わっていいのだ。いわば、両思いだ(?)。
まいど。
まいど、だって。
かようにも満たされるものなのか…。
ここまでくるのにウン万円かかったが(ホストか?)、しかしいつだってそれ以上の素晴らしい体験をさせてもらっている。
このお店がつくる世界観が好きだ。
こういったお店は無くなってほしくないから、スーパーと同じ値段ならばこちらにお金を渡したい。いや、多少高くても…(ホストか?)。それくらい、自分の持つお金をどこに使うべきかを、この街に越してきて考えるようになった。『お金を使う=受け取る相手への応援』なのだと思う。
.
いつもなら買わないような、スーパーではあまり見かけない、赤いキウイを買った。
めでたい日は、紅だ。日本人はそう決まっている。
帰宅し早速いただいてみる。
皮を剥くと、本当に真っ赤だった。
ちょっと躊躇する。
えいやっと口に放り込めば、
見た目とは打って変わって、特別にあまくて、とろけた。

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